“活字がないと生きていけない”FMヨコハマ ニュースアナウンサー 北村浩子が、これは!という作品を、感じたままにご紹介。
新刊本を中心に、単行本、文庫本から写真集までジャンルにこだわらず、話題作を幅広くPick Upします。
あなたと活字の面白さを分かち合いたい!!ご意見・ご感想もお待ちしています。
  ON AIR/隔週 火〜金 7:52〜7:57
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2012/02/03 「斉藤さんがゆく
祐天寺与太郎 作 小学館
購入1365円(税込み) ISBN978-4-09-289732-8

やわらかーいお餅を想像させる超巨大な斉藤さん。腰の刀はビーチパラソルだったりこんにゃくだったり、引き抜くたびに形が変わる。お正月にはかまくらやたこや福笑いになって、子供たちと遊び子供たちに遊ばれる。ある春の日、斉藤さんはどこかへ消えてしまい…著者の祐天寺与太郎さんは「つみきのいえ」でアカデミー賞を受賞した加藤久仁生さんとクリエイターの稲葉卓也さんのユニット。ユルくて平和でなんでもありの、ナンセンスな分だけ自由な絵本です。
2012/02/02 「0.5ミリ
安藤モモ子 著 幻冬舎
購入1680円(税込み) ISBN978-4-344-02082-5

天涯孤独で一文無しの介護ヘルパー山岸サワ。知らない町で高齢男性をナンパし弱みを握り、ムリヤリ世話を焼いて家に住み着く。彼らの終わりかけの人生に寄り添い、放浪するサワの行きつく先は…生きるってきれいじゃないことばかり、と再確認させてくれる、だけどネガティブではない力強い小説。表紙に直筆で書かれたタイトルと著者名の筆圧を、読んでいるとびんびん感じます。
2012/02/01 「絶望の国の幸福な若者たち
古市憲寿(ふるいち・のりとし)著 講談社
購入1890円(税込み) ISBN978-4-06-217065-9

若者はモノを買わない外国へ出ていかない、就職難や少子高齢化のしわ寄せをまともに受けて可哀そう、って本当? 内閣府の調査では20代の70.5%が「今の生活に満足している」って答えているのに? 26歳の社会学者が、そもそも若者とは誰かというところから、膨大な資料と足を使って検証した話題の評論。世代で語るのは意味がない、人は将来に希望をなくしたとき幸せになれる、など気になるフレーズが満載です。巻末には俳優佐藤健さんと著者の対談も。
2012/01/31 「横浜の時を旅する ホテル ニューグランドの魔法
山崎洋子 著 春風社
購入1680円(税込み) ISBN978-4-86110-296-7

関東大震災からの復興のシンボルとして、官民共同で1927年に建てられたホテルニューグランド。日本の歴史の隠れた舞台ともなっているこのニューグランドの魅力を丁寧に伝えながら、人や場所にまつわるエピソードを紹介する1冊です。対談やインタビュー、ひとり語りなどパートによって趣向を変え、活字の字体も使い分けるなど凝った構成になっています。
2012/01/20 「怪物はささやく」
パトリック・ネス 著 シヴォーン・ダウト 原案 池田真紀子 訳 あすなろ書房
購入1680円(税込み) ISBN978-4-7515-2222-6

母の死が近づいていることを認めたくない少年コナーの前にある夜怪物があらわれる。イチイの木の姿をした怪物は彼に「悪が報いを受けない」「善が報われない」理不尽な話を物語る。なぜそんな話をするのかと苛立つコナー。そして怪物はコナーに「おまえの話をしろ」と迫る──人間は心の中に相反するものを常に抱えている、それが普通なのだと教えてくれる物語。これを読んだ子どもは、読む前より自分は大人になったと感じるはずです。
2012/01/19 「11 eleven」
津原泰水 著 河出書房新社
購入1785円(税込み) ISBN978-4-309-02047-1

恐ろしいものなどない、絶望することもないと言う女性が回想する14歳の家出の記憶「手」、別れた妻の顔を眼前に見るようになった彫刻家の日記「微笑面・改」など、語り口の多彩さに引きこまれる11のホラー、SF風味の短篇集。平易な言葉で書かれているのに安直で類型的な表現は一切出てこず、自己陶酔に堕さない美意識がそこここに感じられます。戦時中の広島を舞台に、舫った舟で家族同然に暮らす奇形者たちの運命を描いた「五色の舟」は必読です。
2012/01/18 「道化師の蝶」
円城塔 著 講談社
購入1365円(税込み) ISBN978-4-06-217561-6

飛行機の中、銀色の糸で編まれた小さな虫とり網で人々が放出する「着想」を捕獲する実業家のエイブラムス氏、エイブラムス氏の話を人工言語で書いた作家友幸友幸、モロッコの古都フェズで刺繍を習う手芸家、友幸友幸を探す人物──らが織り成すロンド(輪)のような物語。ある人物はある人物と同一かもしれず、性別すら不明。これって誰? どういうこと? とクエスチョンマークがいくつも頭に浮かびまがすが、それらは最後に見たこともない美しい景色に変化します。第146回芥川賞受賞作。
2012/01/17 「サムライブルーの料理人」
西芳照(にし・よしてる)著 白水社
購入1680円(税込み) ISBN978-4-560-08111-2

2004年からサッカー日本代表の海外遠征に帯同しているシェフが書いた「食での後方支援」の記録。試合スケジュールに合わせた献立の立て方、和食が海外で定番になった理由、材料をミネラルウォーターで洗うほど細心の注意を払う衛生管理のことなど、プロの技術と誇り、ホスピタリティが丁寧な文章で綴られています。本の後半、2010年W杯南アフリカ大会の日記には約1ヶ月間に供された全メニューが掲載されています。
2012/01/06 「ストーブのふゆやすみ」
村上しい子 作 長谷川義史 絵 PHP研究所
購入1155円  ISBN978-4-569-68751-3

けんいちの一家がスキー旅行にでかけようとしたら、なんとストーブがコタツでぬくぬくしている。「冬やすみや」。コタツの電気代もばかにならないとお母ちゃんが言い、ストーブも一緒に行くことに。ところがゲレンデで足をくじいてしまい、おまけにいじめっ子もやってきて…関西弁の会話が楽しい『れいぞうこのなつやすみ』の姉妹編。ひと騒動あって、れいぞうこやストーブが元の姿に戻るとき、さみしいけれど悲しくないのがこのシリーズのいいところです。
2012/01/05 「ヴァーチャル日本語 役割語の謎」
金水敏(きんすい・さとし)著 岩波書店
購入1680円(税込み) ISBN4-00-006827-X

ワタシ知ってるアルヨと言う中国人、よくってよと言うお嬢様、わしは博士じゃと言う博士、は現実にはおそらくいないのに、日本人はそれらの言い回しを聞くと自然に「こんな人だろうな」と想像します。一体なぜ…?たくさんのマンガや江戸時代の娯楽ものなどの資料から、さながら状況証拠を積み重ねて行くような感じでその謎とルーツを探っていく日本語探求本です。アルヨ言葉は、明治12年に横浜で出版されたある奇妙な本に、答えが?
2012/01/04 「解錠師」
スティーヴ・ハミルトン 著 越前敏弥 訳
購入1890円(税込み) ISBN978-4-15-001854-2

幼い頃の事件が原因で話すことができなくなってしまったマイク。彼は2つの才能を持っていた。目に入ったものを絵で再現できること、鍵を使わずに錠を開けること。ある人物に利用される形でプロの解錠師となったマイクは、様々な現場に出向いて金庫を開け続けるのだが─鍵開けシーンの描写は「ここまで書いていいの?」と思ってしまうくらい詳細でスリリング。どこか古典的な匂いのする恋愛小説の一面も併せ持ったクライムサスペンスです。
2012/01/03 「ビブリア古書堂の事件手帖」
三上延 著 メディアワークス文庫
購入620円(税込み) ISBN978-4-04-870469-4

普段はかなりの恥ずかしがり屋だけれど、本のこととなると俄然生き生きしてくる栞子(しおりこ)さんは北鎌倉の小さな古本屋ビブリア古書堂の店主。古書をめぐる小さな謎を彼女はおずおずと、でも透視しているかのように解いていく─類型的なキャラ設定がむしろ楽しい連作短編集。「せどり屋」という職業やサンリオSF文庫の貴重さなど、マニアックな古本の世界の一端を知ることができます。