
『日用品に近いものが私の心を動かす』
渋谷:
立体造形家と雑貨コレクター、またちょっと違うものに思えるんですけれども…。
森井:
私の中では、立体造形家も雑貨コレクターもつながっているところがありまして。立体を造ることは、間接的に自分を表現していることになるんですね。雑貨を買うということも、誰かが間接的に作った表現を見るというということになるので、そういう意味では近いものを感じます。直接ではなくて間接的に表現したり、モノを見たりということにとても興味があります。
渋谷:
作る側と、見る側、目線は違うんですかね?
森井:
そんなに変わらないかも知れないですね。やっぱり人が作ったモモノを見ながら、“これはどういう人が、何を考えて作ったんだろう?”と、“買う人に何を望んでいるんだろう?”っていうことをいろいろ考えながら…。それが楽しいなぁと。
渋谷:
そういうことを考えるんですか〜! へぇー。
森井:
だから逆に、私が作ったモノを見てくださる時に、“どういう気持ちで作ったんだろう?”っていう風に、いろいろ想像して楽しんでもらえたらいいなぁという気持ちがあります。
渋谷:
雑貨でもひとつひとつ作り手の思いがこもった作品なんですね。森井さんとしては雑貨というのは使うもの? それとも飾るもの?
森井:
私としては普通の日用品に近いものが私の心を動かす、いわゆる“雑貨”となりますね(笑)。だから可愛らしくって奇麗で飾っておくものというよりは、実際使うモノが多いです。
渋谷:
雑貨コレクターとして意識が高まってきた頃に心を動かされた雑貨ってどんなモノでしたか?
森井:
ただ可愛いだけじゃなくて、その雑貨自体にストーリーを感じられるモノとか。可愛いが3割、カッコイイが7割ぐらいのバランスのモノが私を動かすと思います。
渋谷:
すごい面白いですね。そういう雑貨はどんなお店で出会うんですか?
森井:
スーパーマーケットが多いですね。やっぱり生活に密着しているモノの方が魅力的なので、スーパーで見つかることの方が多いですね。
渋谷:
海外でもいろんなスーパーに行かれているんですよね。
森井:
好きなのは北欧。フィンランドとかスウェーデンのモノが好きですね。
渋谷:
デザインがすごいいいんですよね。
森井:
そうですね、優れていますよね。お手本にしたいです。
『ホントに小さいモノでも良く出来ているなって。それは誇りに思えますね』
渋谷:
森井さんの最新刊『東京雑貨パトロール』、ワクワクする本ですよね。東京を雑貨を通して見るっていう。ホントにいろんな世界があるんですね。
森井:
それがまた東京の特徴を良く表しているっていうか。今回は山手線の内側だけを紹介しているんですね。でもこれだけバリエーションがあるっていうのは、海外も含めて、なかなか他の都市では無いかも知れないですよね。
渋谷:
無いですよね。さすが東京メトロポリスというか、いろんな国の影響を受けているし、独自のモノも常に進化しているし。
森井:
隣の駅と全然違うっていうのが東京ではあるんですよね。
渋谷:
今までは世界中の雑貨を見てこられて、今回、何故、東京に注目したんですか?
森井:
10冊目の本なんですが、これまでの9冊は全部海外の雑貨を紹介しているんですけれども、今まで台湾、中国、韓国で翻訳出版されてまして、お便りをいっぱいいただくんですけども、“何故、東京が無いんだ”って(笑)。
渋谷:
改めて東京の雑貨っていうのはどんな世界でしたか?
森井:
東京の雑貨の特徴というのが、質がものすごくいいです。素晴らしいですね。ホントに小さいモノでも良く出来ているなって。それは誇りに思えますね。
渋谷:
日本産! 素晴らしいですね! 雑貨の本を10冊も出されていて、おそらくモノが山のようにあると思うんですけど、どのようにして整理をしているんですか?
森井:
それホントに良く話題になるんですけども(笑)。私は壁とか仕切りの無い事務所を借りて、半透明のオックスを積み重なって壁のようになった収納を壁代わりにしているんですね。小さい引き出しがいっぱい付いているので、そこに国ごとに分けて入れてます。
渋谷:
いやー! すてきー!
森井:
半透明なので何が入っているか見えるんですね。だからしまいながらもデイスプレイしているような、そんな感じです。
渋谷:
国別に分けているんですか〜。そこで世界のスーパーマーケットを巡れるみたいな(笑)。ひとつの美術館ができそうですね。“森井ユカさんの世界スーパーマーケット・ギャラリー”みたいな。
森井:
あぁ、そうですね。世界の日用品とか、やってみたいですね。
渋谷:
森井さんにとって雑貨の最大の魅力って?
森井:
そうですね…、こちらのイマジネーションを最大に刺激するといいますか、対話ができるところだと思います。ホントにそういうモノで生活とか気分って変わるものなんですよね。私自身も立体造形を作って行く上で、そういうモノを造って行きたいなと思いますね。