
『野菜には何ひとつ同じものはない』
渋谷:
新田さんは農家に実際に足を運ぶこともあるんですか?
新田:
そうですね、時間の許す限り産地に足を運ぶようにしています。作っている方がどのように作っているのか、私自身が見ないと食べ手の方にお伝えできないですからね。バックグラウンドを伝えて、それを踏まえてどうやって食べていただくかを提案しているんです!
渋谷:
そうなんですかぁ!
新田:
「今日の茄子は皮が厚めなので、こうやって食べたらおいしいですよ」、とかも提案しますし。
渋谷:
やはり同じ品種でも出来上がりに違いがあったり個性があるんですか?
新田:
時期や栽培方法などでも味は変わりますから!
渋谷:
料理本には、トマトは「トマト」、茄子は「茄子」としか書かれていないですけど、ひとつの野菜で、そんなにイマジネーションを広げることができるなんて!
新田:
「野菜には何ひとつ同じものはない」ということを私はよく申し上げるんです。お茶の言葉で一期一会というのがありますが、毎回出会いの連続で、「この間のはおいしかったけど、今回のは違うぞ」と思うこともありますよね。でもそれは、ただ「おいしい」「おいしくない」ということではなく、それは野菜の個性で「これは焼いてみたらおいしい」かもしれないし、「これは生で食べてみたらおいしい」かもしれないんです。そういうことも、少しバックグラウウンドを知っているだけで、うんと食べる楽しみや豊かさが変わってくるんですよね。
『農業や野菜に関心を持っていただく間口が広がっているのは、非常に良いことなんじゃないかと思いますね!』
渋谷:
今、農業が一種のブームのようになっていますが、そういうことを新田さんはどう捉えていますか?
新田:
農業には難しい点があるんですが、このように皆さんに農業や野菜に目を向けていただくというのは、私は良いきっかけだと受け止めているんです。
渋谷:
一過性のものでも?
新田:
そうです。これまで自給率のことなんて気にも留めていなかった人も多かったと思いますし、野菜がどうやって生っているのか、「トマトはぶら下がって出来ている」とかも知らない人がたくさんいるんですよね。
渋谷:
スーパーマーケットで見る状態しか知らない野菜はありますね!
新田:
そういう意味で、農業や野菜に関心を持っていただく間口が広がっているのは、非常に良いことなんじゃないかと思いますね!