
『百年分の光を体に浴びているお年寄りにシャッターを向けたいなぁと、思ったんですね』
渋谷:
私たちの番組では「ふたり」がテーマに、「ゲスト×誰か」のエピソードを聞いているんですが、現在の小野さんの人生に大きな影響を与えた存在はいらっしゃいますか?
小野:
百歳のシリーズを撮るようになったきっかけが縄文杉なんですね。杉というのは、植物ですから葉っぱに光を集めて成長していますよね。
渋谷:
ええ。
小野:
そして写真は光を集めています。
渋谷:
たしかに。
小野:
そしてある脳と心の関係を扱った番組で、養老孟司さんがおもしろいことを言っていたんですよ。心や記憶は脳細胞と脳細胞の間にある弱い電流の膨大なネットワークらしいんです。そして電流は光の一種として捉えることもできるらしくて、「心とは脳を駆けめぐる光である!」とおっしゃったんですよ。
渋谷:
へぇ!!
小野:
あと、相対性理論ってありますよね、E=mc2という。それによると、物体は、原子からできていて、原子は粒子からできていて、その粒子をもっと細かくすると、「エネルギー」に分解できるらしいんです。エネルギーは「光」としてとらえることもできるわけで、つまりは、「人体」も光なんです!先ほど言ったように「心」も光でできている。「写真」も光で出来ている。「縄文杉」も光で出来ている。そう考えると・・・、「わーすごーい」と思って!!
渋谷:
全て元をたたせば「光」なんだ・・・
小野:
だから僕も百年分の光を体に浴びている「お年寄り」にシャッターを向けたいなぁと、思ったんですね。
『必要とされることがすごいエネルギーになる』
渋谷:
百歳になるとどんな世の中が見えるんですかね?
小野:
毎日たのしいんじゃないですか?あるお婆ちゃんは「夢はマチュピチュ遺跡を観ること」って(笑)
渋谷:
夢を語れるってすごいですね!!
小野:
すごいです、ほんとに(笑)
渋谷:
そんなに年をいっていなくても、「先はないから」なんておっしゃる方もいるのに。
小野:
私が会ってきた百歳王の方々には、そういうことを言う人はいなかったです。
渋谷:
百歳王の皆さんのエネルギーの源って何なんですか?
小野:
僕が訪ねた、ある百歳のお婆ちゃんは家から出るのも少なくなるような感じだったんです。しかし現役の眼医者さんでして取材などを受けることになったんです。それを機に「私もしっかりしなきゃいけない!」と思ったらしくて、お化粧をしたり散歩に出たりして、元気になってきたんですよね。
渋谷:
注目を浴びたことで?
小野:
そうなんです。百歳に限らず人間って、必要とされることがすごいエネルギーになるみたいです。だから思いやるあまり仕事を取っちゃうんじゃなくて、お爺ちゃんお婆ちゃんなりにやってもらうこと、役割を持ってもらうことが良いことだと思うんですよね。
渋谷:
場所を守ってあげるんですね。
小野:
そうです、百歳になっても働いていただく!というのがその人にとっても幸せなことのようです。