
『自然の世界やあちらの世界と、人間の世界を繋ぐものが音楽や踊りなんです』
渋谷:
バリの音楽ってガムランっていうんですよね?
小谷野:
そうですそうです。
渋谷:
ガムランの魅力ってどういうところですか?
小谷野:
僕にとってはこの世界に入ったのは自然なことだったんだけど、魅力っていうと、ただ単に音楽として面白い以上に、精神的なものを強く感じたり。
渋谷:
精神面なんだ。
小谷野:
そう精神面。あとバリの音楽って自然と人が仲良く暮らしていくための道具だったりするんですよね。
渋谷:
そうなんですか?
小谷野:
バリってヒンドゥ教なんですが、内実はヒンドゥよりも前からあった土着の宗教が色濃く残っているんです。
それは自然崇拝であり祖先崇拝のようなものなんですね。
渋谷:
へぇ。
小谷野:
自然の世界やあちらの世界と、人間の世界を繋ぐものが音楽や踊りなんです。だからその架け橋がないと儀式がなりたたないんです。
渋谷:
そう考えると大学で音楽を専攻していたことも全て繋がっているんですね。
小谷野:
そうなんですよ、音の環境論を専攻していたからそういうことに気づけたのか、
もともとそういう感覚が身についていたから惹かれていったのかはわからないですけどね。
渋谷:
小谷野さん、前世からのつながりとかありそうですもんね!
小谷野:
あはは。
『「それぞれ違うもの」は世界中にたくさんあるんです』
渋谷:
小谷野さんのされている活動って踊りだけでないですよね。たとえば日本の学校の幼稚園、小学校、中学校でバリ舞踊を披露されていたり。
小谷野:
そうですね、そういうオーダーがよくあるんですけど、バリの音楽と踊りを鑑賞教室のような形でやってほしいということはよくあります。
渋谷:
それはどういう気持ちでやっている活動なんですか?
小谷野:
僕の世代は音楽は西洋音楽だったんです。音楽の授業のなかでほとんどバリの音楽に触れる機会ってなくて。
渋谷:
まずないですね!
小谷野:
記憶にある限りはね、さぼってたかもしれないですけど(笑)
どうしてもドレミファソラシドの音階があって、ということになっているんだけど、バリの音楽って必ずしもそういう音階には
まるものじゃなかったりするんですよね。
渋谷:
うんうん。
小谷野:
西洋音楽からはずれたところでやっている音楽なので、それは別にどっちが良いとか悪いはないんですけど、それぞれ違うものなんですよね。
「それぞれ違うもの」は世界中にたくさんあるんです、バリだけじゃなくて。日本の音楽だってそうでしょ?
渋谷:
そうですね。
小谷野:
今の時代は日本の伝統的な音楽に触れる機会はすごく少ないから、音楽というと西洋的なものをイメージして、
それが判断基準になっちゃうんだけど、やっぱり小さい頃から色々と触れていたほうがいいなと思うんです。
それによって人との違いを認められるようになったり、「自分とは違うけどそれには意味があるんだ」と思ったり。
そういうことを音楽や踊りを通じて感じてもらえたらいいな、というのが一番の気持ちですね。