臨界点みたいなものを探るおもしろさというか
渋谷 : 豊島さんも監督されているテレビドラマ「怪奇大家族」は私も出演させていただいているんですが、
どんなドラマか話していただけますか?
豊島 : テーマは「恐怖と笑い」というところにありまして、ギャグホラー版サザエさんというか(笑)。
サザエさん一家に毎回幽霊や宇宙人が現れ、本来なら怖がるべきところを、
例えば幽霊にツッコミを入れると笑えるとか、茶化す訳じゃないんですが、そういうテイストでやっています。
ホラーものってキワキワだったりするじゃないですか。例えば音を消して冷静に見ていると幽霊がバカバカしく笑えたりとか、
そういうのを狙ってやってみようというのが発端だったんです。
渋谷 : ホラーコメディの魅力ってどういうところにあると思いますか?
豊島 : おばけの映像でも、チラッと見ると怖いけど、見せすぎるとだんだん笑えてくるっていう感じですよね。
笑いも恐怖も感情が大きく振れるじゃないですが、そこの
臨界点みたいなものを探るおもしろさというか。
例えば1話でも、トイレに入ったらおばさんの幽霊が入っていて、それを名づけるのに「トイレの幽霊」というと笑えないんだけど、
「先客」にしたらギャグになるとか(笑)。
渋谷 : あはは。
豊島 : あ、あと、ちょっと話ずれちゃいますけど、渋谷さんが演じた”幽霊の麻美さん”が、
「私、人に迷惑かける幽霊なんて許せません」って言った後、血を吐いて迷惑をかけてるっていうシーンありましたよね。
僕が撮ったなかでのベストシーンですね(笑)。
渋谷 : ふふふ、ありがとうございます。
感動する瞬間と、怖いと思わせる「何か」が映る瞬間は一緒だなと
豊島 :コメディーでも悲劇でもラブストーリーでも、感動する瞬間って
「今何かが映った!」っていう瞬間だなって、思うんですよ。
それは特別な空気感だったり、間だったり・・・そういう
感動する瞬間と、怖いと思わせる「何か」が映る瞬間は一緒だなと
最近気づいたというか。
渋谷 :豊島さんは今後どんな作品を撮っていきたいと考えていますか?
豊島 :ジャンルは問わないんですけど・・・ (マイクに近づいて)「人の心の痛み」みたいなものを。
渋谷 :ちょっとぉ。なんでマイクに近づいて男前な声だすの(笑)。すごくウソ臭いじゃないですか。
豊島 :へへへ。
渋谷 :で?
豊島 :ホラーに限らず、さっき言ったような「瞬間」こそが、映画に魅入られている部分だと思うので、
そういう瞬間が自分の作品で描ければいいなと思うんですよ。